外傷後のアイシングは、ほどほどに

従来、外傷後3日は冷却、その後温熱療法が基本でした。

骨格筋損傷に行われる「RICE(ライス)」処置としてRest(安静)、Ice(アイシング)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)が勧められてきました。

神戸大学と千葉工業大学の研究 2020 jappllphysiolに興味深い研究が発表されました。

重度な肉離れに近い筋損傷のモデルマウスを用いて、損傷後にアイシングを施した影響を観察。

アイシングはポリエチレンの袋に氷を入れて皮膚の上から30分間、2時間ごとに3回行い、これを損傷2日後まで継続。最初3日のアイシングを行ったんですね。

その結果

2週間後、再生した筋線維は横断面積の小さい=細い筋線維が多い。(対照の2.5倍)

損傷した筋に炎症性細胞があまり入っていない(25%減少)

炎症性マクロファージが早期に損傷筋に集まっていない。遅れて5日後、7日後に炎症性マクロファージが観察される。(2日の遅れ)

アイシングを施すと、炎症性マクロファージによる損傷筋の貪食が十分に行われず、それが原因で新しい筋細胞の形成が遅れる可能性を指摘しています。

アイシングは、血管を収縮させ、細胞の移動が減り、修復反応の遅れと妨げになることが考えられます。

少なくとも、しっかり冷やす、過度なアイシングは避けた方が良さそうです。

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